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毎年この時期になると必ずと言ってよいほど問題提起がされる幼児の車内放置。つい先日も大変残念ながら、痛ましい事故が発生してしまいました。
今一度、幼い子どもの車内放置の危険性について警鐘を鳴らしたいという願いを込めつつ、記事としてまとめました。
過ごしやすい天気でも車内温度は50度にも
車内放置と聞くと主に夏場の炎天下での状況を想像することが多いですが、実は秋や春の比較的過ごしやすい天候においても、車内環境は相当に危険となりえることがわかっています。
日本自動車連盟(JAF)の実験によると、 気温23度前後の過ごしやすい環境のもと1時間放置した車内の気温が、最大で50度以上(51.3度)にまで上昇 するなど、想像以上に危険な車内環境となりました。
同連盟による真夏の環境下における同様の実験において、車内の最高温度が57度であったことを考えると、秋でもほぼ真夏に相当する危険度であると言えるでしょう。今日は涼しいから大丈夫、と思っていても車内の環境は全く別物と考えるべきであることがわかります。
なぜ子どもを放置してはいけないのか
そもそも大人であれば、仮に上記のような環境の車内に留まっていたとしても、外に出たり、エアコンをつけたりといった判断ができるため、相対的に危険度が低いと言えますが、子どもの場合はそうは行きません。
また、 子どもは汗をかく能力が未発達であり、また、大人よりも体重に対して体表面積が大きい ため、周囲の環境の影響を受けやすく、結果として大人よりも熱中症にかかりやすいと言われています。
少しくらいだから大丈夫、といった大人を基準にしたような見通しは極めて危険です。大人と子どもとでは、全く危険性が異なるものであるという前提の上、たとえ短い時間、涼しい天候であっても、車内放置は絶対に行わないという確固たる姿勢が最重要と言えます。
暑熱順化とは?初夏や春が危険な理由
熱中症と言えば真夏にかかるものと思いがちですが、必ずしもそうであるとは限りません。
「暑熱順化」とは、身体が真夏に向けて暑さに慣れ、汗の量が増え、気化熱や身体の表面から熱を逃がしやすくなり、暑さに強くなっていくことを指します。
この 「暑熱順化」がまだ進んでいない春や初夏に、高温の車内に子どもが放置された場合、熱中症にかかるリスクもより大きくなると考えられます。
こうしたことからも、夏場だけでなく季節を通じて車内放置を絶対に避けることの重要性がより強調されます。
まとめ
今回の記事では主に
- 季節を通じて車内放置は避けるべき理由
- 子どもの熱中症リスクについて
という観点から子どもの車内放置の危険性について改めて強調しました。
もちろん、車内放置については意図的ではなく、「家族の他のメンバーが連れていると思っていた」というような「うっかり」から発生してしまうケースもあるため、事故を完全に防ぐことは難しい側面もあることは否定できません。
とはいえ、上記のようなリスクを正確に把握することが車内放置を防ぐためのスタートラインとなることは言うまでもありません。
既に暑さが本格化する中、悲しい事故をこれ以上増やさないために業界・個人がより一層の注意をもって防止に取り組むことができればと考えています。
【参考記事等】